ちょっと信じがたいパワー…ベテルビエフ vs プリエト

相手のプリエトは戦績が良くKO率も高い、戦績だけでなく1ラウンドの動きを見てもスピードもあり、ジャブも力強く決して雑魚ではない。

http://boxrec.com/boxer/484089

プリエトは戦略を誤った。
ベテルビエフにプレッシャーをかける。一か八かこれしかないと考えたのかもしれないが、そんなものが通用する相手ではない。
戦い方云々の前に試合を受けたことが誤りだ。

しかし弱点が無いわけではない。
ベテルベエフは相手が前進してきたとき、特に攻撃されながら前進されると後ろ重心の棒立ち気味になる。スティーブンソンのようなパンチのあるサウスポーにワンツーでこのタイミングを狙われると当たる上に威力も殺せずダメージが甚大だろう。
コバレフも得意の右のパンチにフォローさせる左でこのタイミングを狙うだろう。コバレフならダメージも狙える。
ただ、前重心でプレッシャーをかけているときの攻撃力はゴロフキンに匹敵するかそれ以上。真っ向勝負ならこの階級のどの選手でも破壊し得る。
そんな男と対峙するだけで精神をすり減らすのに弱点なんか分かっていても狙えないだろう。
崩しきる前に破壊される方が確立が高い。

3団体統一王者のウォードは彼の挑戦を受けるかなあ。
ウォードの生命線のインファイトでどつきまわされるんじゃないか?
インファイトでのショートパンチの破壊力は他に類を見ないしボクシングに絞るまではレスリングもしていたというのだから、ウォードが得意のレスリングすら通用しない。

ちょっと信じがたいパワー…ベテルビエフ vs プリエト

ゴロフキン vsジェイコブス決定

来年3月18日にHBOで放送決まったようです。
http://www.boxingnews24.com/2016/12/gennady-golovkin-vs-danny-jacobs-official-march-18-hbo-ppv/
ゴロフキンにとってはレミュー以来の王者だな。この階級はこの男とカネロ、後はソーンダース(やらなくてもいい)を倒せば完全な焼け野原と言っていいだろう。

ジェイコブスは実力の割には評価されていないと感じているようで、ゴロフキンと戦いたいと前から言っていたなあ。ピログに苦渋を舐めさせられ骨肉腫を克服してチャンピオンになるも
アル・ヘイモン傘下にろくなミドル級がいなくて相手は雑魚ばかりで人気に繋がらない、強敵は唯一の敗北のピログとお友達のピーター・クイリンのみ。極めつけは同じ階級の怪物、ゴロフキンの圧倒的な輝きの前に彼の輝きは掻き消され影へと下がっていた。

例のごとく、ジェイコブスの勝利の鍵はゴロフキンのジャブを攻略できるか?だ。
ゴロフキンの攻撃は基本的にジャブが起点で、これをガードされようが、避けられようがお構いなし。ジャブのリアクションに合わせて右の照準を合わせる。このジャブは予備動作もなく、正面に立つと反応しづらいはずだ。

当然ゴロフキンと戦った選手達も分かっていたはずで、ジャブの前の癖を探そうとしたに違いないが、それでもこのパワージャブを止められないから尽くマットに沈められているのだ。

しかしジェイコブスの体格とリーチのアドバンテージ、そして強打と彼の勇気なら十分可能性がある。
後はジェイコブスのミドルレンジでの回転力、これで勝負するために自分から仕掛けたい。

ジェイコブスは年齢的に脂の乗り切った時期、ゴロフキンは逆にピークを超えただろう。その差を活かせジェイコブス!

予想:ジャブに成す術なし。ゴロフキンのKO勝利

ゴロフキン vsジェイコブス決定

おじいちゃんボクサー引退 バーナード・ホプキンス vs ジョー・スミス Jr

今回ホプキンスはコバレフのトレーナーでもあり、戦友でもあるジョン・デイビッド・ジャクソントレーナーを迎え、最高齢での王座奪取を目論む。
スミスは前回フォンファラをKOした27歳。ビッグネーム、ホプキンスを倒しこの階級の第一戦への浮上を狙う。

ホプキンスはいつも通りロープづたいにプレッシャーを吸収し、クリンチやボディワークでスミスの攻撃を無効化。ラウンドが進むに連れてカウンターが当たるようになる。いつも通りの展開、しかしスミスの体力を持て余す場面もあり、最後にはパンチをまとめられリングの外まではじきとばされた。
スミスは左を突きながらホプキンスの懐に潜り込み一撃を狙う。クリンチなどの多少の小細工は体力で押し切る。試合ごとに劣化していくホプキンスをきっちりKO。

おそらくホプキンスにキャリア初のKOを献上したスミス。
この階級のビッグネーム二人を食い、勢いに乗る。次はウォード、コバレフの勝者との対戦を希望している。どっちもきつい気がする…

この試合はバーナード・ホプキンスの引退試合。なんと御年51。
僕はメイウェザーやウォードに代表される当て逃げのボクシングがあまり好きじゃありません。
しかし彼は尊敬しています。
プロキャリア28年。
そして18~23歳まで刑務所にいたせいで23歳からキャリアをスタートさせた遅咲きのテクニシャン(キャリア初期は違うようです)。
そのキャリアの濃度はボクシング史上随一だろう。彼の戦歴には名だたる選手が名を連ね、挙げればキリがない。伝説級の選手が何人もいる。
ロイジョーンズと互角に戦い、トリニダードにボクシングレッスンを施してKO、そしてデラホーヤをボディブロー一撃でKOしボクシング史上初4の団体統一の偉業を達成し、テイラーに敗れるまで約12年間、回数にして21回もミドル級王座を守り続けた。

そして晩年は階級をライトヘビー級へ上げ、2団体統一。
有望な若い選手をことごとく封殺してきた生ける伝説だ。
本当に長期に渡って第一戦で活躍し結果を残しつづけてきた。
戦いのモチベーションを保ちつづけたこと、この年で無謀とも言える戦いに身を投じてきことに敬意を表したいと思います。

おじいちゃんボクサー引退 バーナード・ホプキンス vs ジョー・スミス Jr

サリバン・バレラ vs ビヤチェスラフ・シャブランスキー

キューバ人のバレラはウォード戦から復帰戦。
ウクライナ人のシャブランスキーは元々キックの選手であったようで実戦経験は豊富でエリートアマのバレラにも引けをとらない。

1ラウンドはバレラ、2ラウンドにはシャブランスキーとダウンを奪い合いう打ち合いの展開からスタート。
シャブランスキーはウクライナらしくジャブを使いコンパクトなパンチで細かくクリーンヒットを重ねる。
一方バレラは大振りのパンチで一発の印象では上回る。
5回にはワンツーでバレラがダウンを追加しダメージの残るシャブランスキーからペースを奪取。
バレラは重心ブレブレの大振りだが打ち終わりは比較的しっかり守っていてバックステップや打ち終り狙いの相手のパンチへのケアは怠らなかった。
攻撃の時もしっかりと強めのジャブで相手の動きを止めてから強いパンチを打ち込み、シャブランスキーに反撃のきっかけを与えず、またKOしたパンチは何度も相手の顔面を捕らえ、当たるパンチを効果的に使用する冷静も見せた。
シャブランスキーはショーとパンチで回転力ではバレラを上回る、しかし攻防分離でディフェンスが緩くバレラの右に対する策は最後まで見られなかった。
ただ対応出来ないようなパンチには見えず(客観的にみるとだが)ガードを高くしたり、カウンターを狙うことも出来たような気がした。

この試合は見た目の印象と反して大降りのバレラの方が隙が少なく、ショートパンチで組み立てるシャブランスキーの方が隙が大きかった。
大振りが悪いとか、ショートパンチなら隙が少ないとか技術を見栄えでしか考えない無能な人間の幻想なんだよなあ。
技は常に一長一短であり、それ単体では成り立たない。
上手さとはあらゆる技術の複合的な機能性のことなのだ。

バレラは今後どこを狙うのか、ウォードと再戦しても勝てないだろうし、コバレフやベテルビエフなら大振りが仇となるだろうなあ。

来週はこの階級最強候補のベテルビエフが登場する
ベテルビエフはウォードを粉々に粉砕できる可能性のある唯一の男だと思うので本当に楽しみだ。

サリバン・バレラ vs ビヤチェスラフ・シャブランスキー

テレンス・クロフォード vs ジョン・モリナ

WBCとWBOのスーパーライト級のベルトを保持するクロフォードにとってはモリナはかなり簡単な相手だ。
モリナはプロポドニコフに勝ったがPFPにも名を連ねるクロフォードとは正直格が違う。
今回体重も作れず、体もフラフラに見えたモリナ。最低だ

クロフォードはマジで上手い。
右構えでも左構えでもこの階級最強クラスの実力があるから、試合でも的を絞れない、それどころか入れ替わり立ち替わり二人を相手にする様なもの。試合前に準備だけでも嫌になるだろう。
そしてそれだけではない、ジャブでもフェイントでもディフェンスでも何でも相手を崩せる。これをハイレベル複合して攻撃してくる。
リスクを嫌い一番安全な方法で勝負する。ノックアウトはあくまで勝利の手段の一つでしかない。
KOも出来て且つ敗けないボクシング、付け入る隙が無くこの上なく厄介な王者。

モリナはクロフォードのパンチを警戒し重心を後ろに残したまま前進して一発を狙う単調なボクシング。重心が安定せずクロフォードのパンチでグラグラ揺らされる。

最後のフィニッシュシーンでは上下左右にパンチを散らし強振するが全くバランスは崩さない。見事。

パッキャオとやってもメイウェザー戦以上に完封しそう…

テレンス・クロフォード vs ジョン・モリナ

ジャーモル・チャーロ vs ジュリアン・ウィリアムズ

双子王者の兄、全勝のジャーモル。攻撃的。
挑戦者は技巧派ウィリアムズ、こちらも全勝。

中量級とは思えない高速の攻防。一瞬たりとも目を離せない。
ジャーモルは例のごとくパワージャブでウィリアムズを威圧。凄まじい威力のジャブでゴロフキンやコバレフを彷彿させる。
地面を蹴り発生した力を膝、腰、肩、肘までの各関節を連動し拳まで伝え、当たる瞬間に腕が一直線に伸びきり上腕と前腕の骨が肘の関節でがっちりかみ合う。衝撃の分散を最小限に押さえ込み前方へ集中させることができる。
体格や生まれ持ったパワーもあるが、破壊力を生むテクニックがすごい。

2ラウンドにジャブでダウンを奪い、5ラウンドにはカウンターのアッパーカットでダウンを追加、立ち上がったウィリアムズに襲いかかりストップを呼び込んだ。
接近戦でのクリンチも力づくで剥がす圧倒的体力、パンチの反応とカウンターも高いレベルでまとまっており難攻不落の王者だ。

ウィリアムズはスピードのある攻撃で時折右を当てていたがまったく効いた素振りすら見せないジャーモル。
徐々に動きを見切り始めたが、最終的には破壊力がものを言った。

エリクソン・ルービン、ジャレット・ハードなどタレント揃いだ。ララ、アルバレス、アンドレイド、チャーロ兄が頭一つ抜けているか。
ゴロフキンを避けてか、この階級は層が厚い。
ジャーモルは減量がきついのと本人の野心で階級をそろそろ上げるだろう。

ジャーモル・チャーロ vs ジュリアン・ウィリアムズ

ヘビー級 戦線

先頭集団から少し離れた所で追い上げを狙う第2集団。

ディリアン・ホワイト vs デレク・チゾラ
ホワイトはジョシュアにKO敗けはしたもののグラつかせるなだど見せ場を作っている。
小柄なヘビー級チゾラは敗けこそ多いが、ビタリ・クリチコ、タイソン・フューリー、デイビッド・ヘイなどビッグネームとの対戦が豊富。

SDでホワイト。
この階級だと体重のせいで強度の高い練習が出来ないのかコンディションがお互い作れていない、お互い試合が始まってすぐに息が上がる。チャンスで倒しきる体力がない。
どっちが勝ちでも良い内容だが、戦績の良いホワイトの方が商業的な価値があった。

ルイス・オルティス vs デイビッド・アレン
アレンは前回ホワイトに敗けている。
キングコング、オルティスはKO率は高くパワーもあるがカウンターパンチャーだ。

キングコングというあだ名の割には丁寧な崩しで、強引さはない。
右手で上手くアレンの頭の位置をコントロールして左を当てる。
上手いなあ。アレンをジャブで小突き回してやりたい放題。

ヘビー級の第一線の選手に体格で上回れたときに相手の攻撃を掻い潜る、踏み込んで当てる、ジャブでの崩しができるかが問題になってくる。

ジョセフ・パーカー vs アンディ・ルイズ
WBOの決定戦。全勝対決を制してパーカーがニュージーランド初の世界王者。これは全階級通じて史上初だ。
対するルイズもメキシコ初のヘビー級王者を目指したが、もう一つ及ばなかった。
パーカーはパンチもあるが、スピードが凄い。ハンドスピードならこの階級最速だと思われる。
が、ボクシング自体は下手だ。動きは如何にもセンスあふれるがルイスの前進に対する術も攻撃を当てるための技も見せられなかった。
小柄なルイズはプレッシャーをかけロープまで詰めると見ためによらず俊敏に動き迫力のある攻撃を見せる。
パーカーの消極的な姿勢にルイズの勝ちだと感じたが、ホーム開催も助けた。

ヘビー級 戦線

ルイス・コンセプション vs カル・ヤファイ

カル・ヤファイ(Kal Yafai)日本語での表記が難しい…

ローマン・ゴンザレス中心のスーパーフライ級だが、ハイレベルな選手は目立たなくてもたくさんいる。
で河野から奪ったベルトを賭けてコンセプションがヤファイを迎え撃つ。
この試合はジョシュアvsモリナの前座で行われ、熱気が凄い。
会場も見た感じでは大きいが満員の観客で埋め尽くされている。
日本もボクシングが注目される機会が増えたが、王者乱立が批判されるなか恩恵は確実にある。簡単に批判はできないな。

ルイス・コンセプションとカル・ヤファイは対照的なスタイル。
コンセプションはワイルドにパンチを振るい、直線的な動きが速く本能のままのボクシングをする。
対するヤファイはよく訓練された身のこなしで左右に動きながらコンパクトにパンチを振るう。
コンセプションが感性で動く野性だとするとヤファイは合理性で動く機械だ。

挑戦者ヤファイが判定勝利。
ロングレンジではジャブでの崩しやコンセプションの攻撃の出端を狙った攻撃が有効に機能した。
接近を許してしまったときはクリンチ(レフェリーに注意されると露骨なのは減った)とボディ攻撃を多用。密着することでコンセプションの攻撃を殺しペースを奪わせなかった。

コンセプションはプレッシャーをかけ近づくがディフェンスが悪く攻撃のタイミングを叩かれタメを作れず得意の攻撃パターンに持ち込めなかった。
最後まで強気で攻めつづけたが工夫が無く単調な試合運びに終始。

ヤファイも第一線に加わるとこの階級は面白い。ロマゴンも体格差を克服できなと思う。

ルイス・コンセプション vs カル・ヤファイ

ディミトリー・クドリャショフ vs サンタンダー・シルガド

層が薄くまともな相手がいないクルーザー級だが、クドリャショフは怪物だ。
デュロダラにKO敗けをしてしまったが20勝全てKOで片付けており、ヘビー級でも通用しそうな破壊力を持っている。

毎回倒しっぷりが凄すぎる。
殆どがワンパンチでの決着で失神か意識はあっても立ち上がれない。

高い技術を持っているのかも知れないが、これまでそれを見せるような試合はない。
これまでのKOも倒そうという意志を持った攻撃ではなく何となく攻めたら相手が倒れていると言う感覚だと思う。
それくらい破壊力が度を越えている。

この階級は暫定とか休養とか含めると7人の王者がいるが、そのうちトニー・ベリューとユニエル・ドルティコスの二人を除き5人がソ連勢なんだな…恐ロシア。

ディミトリー・クドリャショフ vs サンタンダー・シルガド

デニス・レベデフ vs ムラト・ガシエフ

サウスポーの王者レベデフと無敗の挑戦者ガシエフの強打者対決。
どっちもお薬のにおいプンプンの体。

長身のガシエフはジャブをサウスポーのレベデフの右腕の上や両腕の隙間に通してレベデフのバランスをコントロールして試合を組み立てる。
この断続的なジャブを使った崩しは欧州、特にロシア勢が多用しシステマチックに機能する。
重量級ではこのボクシングが他のスタイルを駆逐し始めている。

レベデフはガシエフが前進してくれるのでパンチは当てるがガードとガシエフの威圧にパンチの威力を削がれて思うように試合をコントロール出来なかった。

ガシエフ強いなあ。
この日のプレッシャーは尋常じゃなかった。
恐らくスタミナに自信があるんだろうが、最初から同じペースでほとんど休むことは無かった。試合の為にしっかりと準備してきた証拠で素晴らしい精神だが後半のラウンドへ向けたスタミナの配分に不安を感じた。
ラウンド中に休む瞬間も必要かもしれない。

ちなみにガシエフはゴロフキンと練習していて、ゴロフキンの試合の煽りビデオで時々登場する。
そんな分けで今回はゴロフキンも応援へ駆けつけていた。
レベデフはローチの弟子でどちらもロシア人だがアメリカを拠点にしている。

デニス・レベデフ vs ムラト・ガシエフ