ジャレット・ハード vs トニー・ハリソン

ジャーモル・チャーロの王座返上で空いた王座を巡る争い。
ハードは無敗、ハリソンは1敗
戦績が良くKO率の高い長身のパンチャー対決。

ハードはいつも通りフィリーシェルスタイルでまずはパンチを外して得意の距離に持ち込もうとする。
が、スピードに勝り、動き回るハリソンに着いていけず思うようにいかない。
しかし粘り強く追いつづけ相手の不注意に助けられたが、しっかり捕まえて倒しきった。

ハリソンはハードの意図を理解し、速いジャブを打ちながら横へ横へ動きハードのプレッシャーを無効化。
隙を作り軽くではあるがワンツー打ち込むなど効果的な動きを見せた。
ディフェンスは打ち終わり横へ動くなどしっかりとしたハード対策も見られたが、如何せん不注意な性格な様で何度も何度も離れ際にパンチを受けていた。生来の打たれよ弱さも相まってKO負け。ボクシングでは勝っていただけに残念だ。

ハードはチャーロと似たような体格と風貌だが、才能は圧倒的にチャーロだろう。
スタミナに難があるようにもみえるし王座交代は速いかもしれない。

ジャレット・ハード vs トニー・ハリソン

ディミトリ・ビボル vs ロバート・ビリッジ

激戦階級ライトヘビー級のWBA暫定王者ビボルの防衛戦。

https://www.youtube.com/feed/history
序盤からサウスポーのビリッジに対して小刻みに前後に揺さぶり、タイミングをみてワンツーで打ち崩すロシアらしい攻撃。相手の出方によっては、さらに左フックをフォローさせて攻撃を封じる。
一連の動きが無駄無く次に繋がり、スピードはそれほどでもないが隙がない。
ディフェンス面でも足が常に動き距離をキープ、軸がブレず反撃が速い。

相手のビリッジの攻撃はその度に前のめりに重心が崩れ、2、3発の連打で精一杯(それ以上打つと転ぶ)。
重心が崩れた所をビボルに狙われるという悪循環。

スタミナが気になる所だがこのレベルの相手と試合をさせて置くのはもったいない。
ぜひアメリカ上陸してコバレフ、ベテルビエフ、スティーブンソンのトップクラスとの試合が見てみたい。

ディミトリ・ビボル vs ロバート・ビリッジ

デオンテイ・ワイルダー vs ジェラルド・ワシントン

怪我から復帰のワイルダーとベテランのジェラルド・ワシントン。

体格ではほぼ互角に見える両者の戦いだったが、決定力がものをいい最初のクリーンヒット(と言っても5ラウンド)でワイルダーが試合をものにした。
ほとんど動きの無い試合でワイルダーは攻撃の組み立てが苦手、アメリカ人らしく感性で攻撃するタイプで、どうやってパンチを当てるかという理屈を持っているようには見えない。
ワシントンは恐る恐る攻撃するため攻撃に伸びが無く結局ワイルダーには届かず。
体格を活かして戦ってきた両者の戦いは当然、ワイルダーに有利。

戴冠前のスタイルに戻すか、もっとジャブで相手の動きをコントロールできれば恐ろしいボクサーなのに。

デオンテイ・ワイルダー vs ジェラルド・ワシントン

レイモント・ピーターソン vs デイビッド・アバネシアン

キャリア豊富なピーターソンと前回モズリーに勝ったアバネシアンだがこれといった相手とは戦っていない。モズリーは養育費の支払い大変なのかなあ。

ピーターソンはトランクス短けえなあ。短いの流行っているけど…そのうちランニングウェアみたいにタイツもはきだすのかなあ。

ピーターソンは状況に応じて接近戦もできるしアウトボクシングもできる。でも器用貧乏で突出した武器が無い。
アバネシアンも粘り強いし体も強いんだけどやっぱり突出した武器が無い。
力を出しきるも決定的な場面をどちらも作れない、しかし地力に勝るピーターソンが判定で勝利をものにした。

レイモント・ピーターソン vs デイビッド・アバネシアン

マーカス・ブラウン vs トーマス・ウィリアムズ

米国のホープブラウンとアドニス・スティーブンソン相手にいいところも見せたがKO負け。
ここで負けると今後のキャリアが厳しくなりそうな雰囲気。

ブラウンはジャブを突きながら隙を見てワンツーで飛び込む。相手の攻撃は足で外し安全な距離をキープしながら相手の攻撃を警戒。それにしても重量級とは思えない速い攻撃だ。

ウィリアムズはガードを上げてのそりのそりと距離を潰そうとするがブラウンのワンツーと右フックの迎撃に加え前後左右のフットワークで上手く距離をキープされる。ようやく射程距離に近づくもクリンチで封殺され、ブラウンの対応が遅れ攻撃のチャンスを得るも大ぶりで全く当たらず。
試合の終盤でブラウンがKOを意識して足を止めて打ち合う場面もあったのに逆転を意識してか大ぶりになってしまった。今回いい所なし。
相手の反則による影響も考えられるが、圧倒的に実力に差があった。

ブラウンはスティーブンソンへの挑戦をアピール。
ところでベテルビエフとサリバン・バレラの試合が決まったそうで、ベテルビエフが勝てばウォードかコバレフとの頂上決戦になり盛り上がるなあ。

マーカス・ブラウン vs トーマス・ウィリアムズ

エイドリアン・ブローナー vs エイドリアン・グラナドス

問題ばかりだが未だに干されないブローナーとイマムを倒して浮上してきたグラナドス。
またしても番狂わせを起こせるか?
グラナドスは僅差なら人気者のブローナーには勝てない…

才能豊かなブローナーと叩き上げだが筋金入りの粘り強さを持つグラナドスの対照的なマッチアップ。
体格は大きくグラナドスが上、忙しく動きまわり体格差を生かすような立ち上がり。ブローナーはいつも通りのフィリーシェルスタイルから少ない動きでカウンターを狙う。

2ラウンドからグラナドスはブローナ対策を実効、マイダナやポーターと同じく突進、体格の利を活かして肉弾戦を開始。頭から突っ込んで距離を潰すと、とにかく押し込み力技で勝負。
しかし押し込むのはいいがブローナーのディフェンスを崩す方法は見られず揉み合いに終始。

ブローナは頭から突っ込んでくるグラナドスを止められない。足がないからまともにグラナドスの突進を受け止め体力を消耗。突進に対処するのに忙しくで序盤は攻撃まで手が回らない。
しかし中盤以降はグラナドスの疲労で突進が断続的になると、徐々にカウンターが決まり、接近戦でのコンビネーションもあたり始めた。

粘りを見せたグラナドスだったが、結果は接戦SDでブローナー。

グラナドスがハードパンチャーならヤバかった。もっと左右に動ければ楽に戦えたように感じた。

エイドリアン・ブローナー vs エイドリアン・グラナドス

ロバート・イースターjr vs ルイス・クルス

細長い身体のモアイみたいな顔して、名前もこれまたイースター。
相手は同級15位のクルス。
実力から言えばイースターにとって簡単な試合だ。
https://m.youtube.com/watch?v=OtEB6pxvpiQ
序盤は体格に勝るイースターが速く強いジャブ、左フックと右のアッパーカットのカウンターで相手を迎撃。
クルスは速くて強い攻撃を前に攻めあぐねる。

試合は中盤からイースターが圧力を増し、ようやく動き始めた。しかしイースターは横着なボクシングでダウンを奪うも倒すまでは至らず。最後まで余力を残した安全な試合運びで危なげない勝利。
だけど最後はKO決着してほしいなあ。
前回接戦で勝ったリチャード・コミーの方が面白いボクシングだよ。
残念ながらコミーはガーナ出身で金にならない選手ってことで再起戦もアウェイで負けにされた。
正直トップクラスにアウェイで勝つのは難しい。コミーみたいな選手が埋もれていくのは残念だ。どうしても彼を応援したくなる。

この階級にはマイキー・ガルシアや下の階級にロマチェンコがいるけどイースターとは絡まないだろうね。

ロバート・イースターjr vs ルイス・クルス

フェリックス・ベルデホvsオリバーフローレス

スター候補で次に世界戦と言われるベルデホ。
交通事故からの復帰戦。
相手は内山に3ラウンド、ベルチェルトに2ララウンドで倒されたオリバー・フローレス。
一階級下のジャニーマンで世界戦前の景気づけのために行われるはずだったが…

https://m.youtube.com/watch?v=LzvGj3CWnsg

ベルデホは初回から慎重な戦いで、ワンツーとフックで攻撃を組み立てるがワンパターン。相変わらずの大振りと単発で思うように行かない10ラウンズ。
ワンツーはスピードと迫力はあるが、ジャブで相手の動きを止められず、またジャブから右への繋が遅く全く当たらない。同じ階級のワンツーマシーン、マイキー・ガルシアと比べると技の質が桁違い。
フックも同じように単調に振るだけで威圧するくらいしか効果がなかった。
少しづつ修正できるかと思いきや逆に後半ペースを奪われる始末。
課題が山積みだ。

フローレスは序盤は強打の相手にやや気圧されたが単調な攻撃に対応し後半は自信をつけて攻勢をかけてクリーンヒットを奪うも倒すには至らず。
パワーがあれば倒せていたかもしれない。

フェリックス・ベルデホvsオリバーフローレス

サダム・アリ vs ホセ・シルバ

ジェシー・バルガスと王座決定戦でのKO負けからの復帰戦
タレント揃いの階級だけにアリといえども簡単には王者になれない。

軽快なフットワークから隙を見てワンツーや返しの左のパンチを打ち込みスタートから圧倒。
相手が前に出ても余裕のカウンターで実力差は明白。最後は派手に倒した。

総合的な能力は高いが、体格も普通で突出している部分が無く強みが無いのが弱点か。
軽量級の層の薄い階級であれば十分だが、ウェルター級となれば話は別で、物足りない。
淡々としたボクシングで意外性はなく、怖さも少ない。
足とカウンターで徹底したポイント狙いのボクシングかもっと爆発力を上げないと王者になるのは厳しそうに見える。

サダム・アリ vs ホセ・シルバ

三浦隆司 vs ミゲール・ローマン

キャリアのある相手にどんな戦いを見せてくれるか。

6ランドまでおとなしめだった三浦だが7ラウンドから凶暴化してローマンに襲いかかる。
上手さとは対極の喧嘩スタイル、右手で相手を抑えて左をガードの上に無理やりねじ込む反則スレスレの攻撃。
全弾フルスイング、コンビネーションとは言い難い単発のパンチを連打。
防御もせずほとんど顔面で受けるが脅威のタフネスを発揮し前進し続ける。
そして最後にローマンが殴り合いに音を上げた。

歩いて思い切り殴る。超シンプル。

三浦隆司 vs ミゲール・ローマン