ウクライナ人揃い踏み ワシル・ロマチェンコ vs ジェイソン・ソーサ

エリート、ロマチェンコと雑草ソーサの戦い。
下馬評は圧倒的にロマチェンコ有利。

ロマチェンコが5~60%程度からいつも通りのスロースタート、対するソーサは100%エンジン全開でスタートする。
しかし実力差は歴然で、ソーサはロマチェンコの動きに着いていくので手一杯、ロマチェンコが瞬間的にエンジンを踏み込むと一方的に撃ち込まれる。
気持ちはこもっているが如何ともしがたい実力差、特に機動力は同じスポーツとは思えないほど差がある。

いつも通りロマチェンコは軽めのパンチやフェイントでソーサの足を止め、ソーサのサイドへ回り込む。1、2ラウンドまではソーサも足を動かし左フックでサイドのポジションを奪われないように対策していたが、100%で動きつづけたため体力と集中力を徐々に消耗し、足が止まってしまった。
その後はロマチェンコのいつものパターンだ。
しかし最後まで気力が衰えることはなく、ボクサーとしての意地を見せた。
5ラウンドから滅多打ちに合いながらもセコンドに止められるまで徹底抗戦を貫く姿勢と気迫にとても心を打たれた。
どこぞのジャマイカ人とは大違い。

残念ながらロマチェンコはパンチがなく滅多打ちの割には倒すことが出来ない。
トップ中のトップレベルを相手にした時に致命的な弱点になるかもしれない、と思う内容だった。
破格のパンチのマイキー・ガルシアを相手に強気にアウトボクシングを選択しなければ危険そうに見えた。

アレクサンダー・ウシク vs マイケル・ハンター
エリートアマ同士の対決。
チャンピオン、ウシクはKOが多いが技巧派で連打型の倒屋だ。
挑戦者のハンターはプロデビューから全勝、ちらも技術もスピードもある優れた選手。

ウシクは様子見の序盤だが、スピードで勝るハンターが先手を取り挑戦者らしい立ち上がり。3ラウンドまでその展開が続いたが、4ラウンドからウシクが流れを変えるために手数を増やし打ち合いの展開へ。
パンチの打ち方、ポジショニングに無駄が無く効率で上回るウシクへ徐々に流れが傾き始める。2ラウンドほど続け完全にペースを握ったウシクは休みを挟みながら尚もペースを落とさず、ハンターを少しずつ弱らせる。
最終12ラウンドはストップが妥当なほど打ち込み弱らせたがアメリカ人のハンターに見方したレフェリーのせいで判定へ持ち込まれた。

欧州やソ連圏のエリート達は予備動作のないジャブで相手のバランスを崩し、脇を締めコンパクトにパンチを振り、回転が効く。相手との距離に合わせた腰の回転の微調整でインパクトの瞬間に腕が伸びきる。特に強打者はこれが上手い。爆発力はないが恐らく一番効率の良いボクシングで世界戦の長丁場に向いている。

アレクサンダー・グヴォツディク vs ユニエスキ・ゴンザレス
技巧派のグヴォツディクとパスカルと接戦を繰り広げたゴンザレスの戦い。

ゴンザレスが大ぶりの気迫のこもったパンチで迫るが、グヴォツディクは足を使いジャブを突き隙を窺う。
2ラウンドくらいから打ち合いに突入、効率で上回るグヴォツディクがすべての場面を制し、ノックアウト。
この階級はコバレフ、ベテルビエフ、グヴォツディク、ビボル旧ソ連勢が制圧した感じだ。
残るはスティーブンソンとアンドレ・ウォードのみ。

ウクライナ人揃い踏み ワシル・ロマチェンコ vs ジェイソン・ソーサ